一生かけてやってゆくこと
1月の人生初の海外旅(ドイツ)で、右も左もわからない赤ん坊に戻った気分だった。
自分を形作るもの全て、そこでは必要になることはなかった。不安とか悲しみとかたくさんあったけれど、それを上回る喜びもあって。
とにかく必死で、夢中で、その時間を過ごしていた。
到着したばかりのミュンヘン駅ナカのスタンドで、水をもらうだけで一苦労し、店員さんに笑われたような気がしてこれからの旅をいきなり憂えた。
その後ホフブロイハウスへ予約もなしに現れた自分たちにはしょっぱい対応が待っていたが、ここで自分は良い意味でキレた。振られてもきにしない、お店のなかを歩き回りウェイターさんを見つけては、注文したいとひたすら声をかけた。かくして、希望通りのものを手に入れたあの瞬間、最高に気分が良かった。
その後寄ったスーパーでもなかなかの塩対応だったが、きっとそれは自分が「サービスを待っている・当たり前に思ってる」だけだってこと。手に入れられるまで頑張ればいいだけのことだなあと改めて知った感じだった。
オーストリアへ向かう友人と別れるときまでに、それを知れて良かった。憂えたままひとりだったら、この先何をしてもつらい気持ちになってしまうところだった。
ミュンヘンからビュールまでの長距離移動は、常にDBアプリとにらめっこしてひたすら乗り換えがうまくいくように神経を尖らせていた。隣空いてるかい?と聞かれて答えたりとか、車掌さんに切符見せたりとか、それくらいしかコミュニケーションが取れなかったな。
ミュンヘンからシュトゥットガルトまでは新幹線、そこから快速列車でカールスルーエ、さらにビュールへ。カールスルーエ・ビュール間は自転車のマークが着いた車両があって、普通に自転車そのままで乗り込んでいた。ちょっとびっくり。でも便利そう。
やっと宿泊地ビュールに着いたと思ったら、レセプションがいてくれる時間が過ぎてしまいどうやって入るのかわからず焦る。すでに真っ暗で雨で、寒い。そしてなによりクタクタだった。英語で書かれた張り紙を読み、電話で何度も聞き返しながらやっと部屋に到着した。空腹以上に疲労が勝ち、明日早起きをして近くのスーパーで食料を調達することに決めた。旅はなにひとつうまくいってなんてないんだけど、ここまでこれた興奮と満足感を身体中に満ち溢れさせながら寝落ちるドイツ1日目。
2日目は早起きして近くのスーパーマーケットで買物チャレンジ!数字が聞き取れないので、クレカ使えるのすごく便利だなあと。調子に乗って2件ほどはしごしてみた。スーパーは楽しい。
直前まで迷っていたけど、マインツvsシュトゥットガルトを見に行ってみた。
マインツまでは新幹線と列車で、スタジアムまではトラムと徒歩で。直前でホームが変わるとかなかなか上級者向けなドイチェバーンさん・・・。トラムは英語放送なかったりするので、グーグルマップで位置情報を確認しながらだと安心。電車でもトラムでも、酒を呑み歌を歌いって感じでなかなかの祭り感。マインツ駅は警官だらけでした。
印象に残ったことがあって。列車内はサポーターが占拠して呑めや歌えやの宴会状態。前の席に座っていたお客さんはこの状態に何なのコレ!ってなっていて、自分の隣に座っていた青年が立ち上がって「サッカーの試合があるんですよ。困りましたねえ」的なことを言ってその方をなだめていたのだけど。でもその青年、あきらかにサッカー見に来てて。サポーターの輪には参加しないけど、ずーっとニコニコしててわくわくがおさえられない!みたいな笑顔だった。最高の週末が始まるんだなーとわくわくが伝染してしまったよね。
当日券購入(ゴール裏は一番安く約1800円)、グッズショップで買物と少しずつやりたいことがを増やすのがこわくなくなってきた。
スタジアム内に入るためには、めちゃくちゃ厳しいボディチェックがある。わりとしっかり触られる(もちろん女性には女性スタッフが担当)。大きい荷物は持って入れないらしく、カメラは宿に置いてきた。ポケットに入っていたスマートフォンですら、これなに!と厳しく言われる。あ、アイフォーンですぅ・・・と見せてようやくOKが。
スタグル食べたくてお店のスタッフに声をかけたら「専用のKarte(カード)での支払いのみです」とのこと。システムを理解するのに何度もスタッフの方に聞き直した。諦めたくなかったのだ。
専用の受付でチャージして、そのカルテ(カード)を使ってスタグルを買う。余ったら別の専用窓口でカルテを返却して残った金額をバックしてもらう。通うならそのまま持っててまた使う。これ、説明聞いてくじけなかったのは笑、ドイツのスタジアムでビール飲んでヴルストにかぶりつきたかったから。 pic.twitter.com/je6cbL8WRL
— shindy_jdi (@shindy_jdi) 2018年4月6日
ヴルストとビールをピッチを眺めながら味わえたことは一生忘れたくない。ブンデスの試合を見に行くこととそこでソーセージとビールを楽しむことは憧れだったんだ。
と、ここまで満喫してビュールに戻ることに。というのも、20時からバレーの試合があって、マインツの試合を見てから行くと間に合わない(DBは遅延も多いので乗り換え時間ギリギリだと危ない)。列車の中で武藤選手が2点決めたことを知る・・・・・・ううっ。これはもう、リベンジするしかないでしょう。
ビュールの体育館に入ったときは感無量だった。
すでに選手たちはアップを始めていた。体育館をゆっくりと一周して、記念にトイレも入って笑、自分の席に座る。隣の方が日本から来た方で声をかけてくれて、ちょっとだけだけど久しぶりに日本語だ!と思うことが不思議だった。近くに座っていたドイツのおじいちゃんも声をかけてくれて、こうやって応援するんだよって教えてくれた。英語はしゃべれないんだと言っていたけど、身振り手振りで伝えようとしてくれて嬉しかった。点が決まったらどうすればいいの?と聞けば、「Super!(ズーパー!)」って叫べばいいのさ、と。今ならわかる、でも当時は『ん?Zuppa(ズッパ)?スープ?ドイツだとそういう意味でも使うのか・・・?』と勘違いし、試合中スープスープと叫んでいたのは自分です笑!でも応援楽しかった!体育館全体の熱が上がっていって、全力で叫べるの最高だ。
コートを挟んだ対岸で表情豊かに応援してるお姉さまに、後ろで選手の名前を呼ぶおじさまに、隣で応援の仕方を教えてくれるおじいちゃんに、胸の奥から込み上げる熱を引っ張りあげられて夢中になって応援していた。会場中で、バレーボールに一喜一憂する。楽しいなあ!って思いました。
— shindy_jdi (@shindy_jdi) 2018年1月26日
選手たちがコートを熱くして、それに煽られるように会場も熱くなっていって。その逆もしかり。
— shindy_jdi (@shindy_jdi) 2018年1月26日
後ろにいたおじさまがマヤ選手を「スーパーマヤ!」ってコールするのが好きだった。勝った瞬間、サポーターのお姉さん(美人)が選手たちに投げキッスをするのがかっこよかったな〜。
どのセットも熱かった。特に2セット目は取られそうだったけど粘れたのだ。 1セット目取れたとき、柳田選手はよっしゃーってジャンプしてた笑。
言葉、表情、ジェスチャー、持てる全てで伝え続けていた。コートだけじゃない、会場中ぐんぐん上がる熱気の中心にいる。
— shindy_jdi (@shindy_jdi) 2018年1月26日
信頼して、信頼される姿がそこにあった。胸熱。 pic.twitter.com/zjjYwKPIL8
勝つところを見たいというよりかは、どんなふうに戦っているのかを純粋にこの目で見てみたかった。そしてその場にいるならば声援を送りたかった。それを叶えたとき、見える景色が変わった。
体育館内のショップでビールを買う。日本ではあまり見ない景色だけど、試合だけじゃなくその前後の時間もその場で楽しめるような環境が豊かになるといいなと思う。できれば能動的に、そうなるように働きかけていきたいなと思っている。
ドイツ語でグッズ購入も無事にできたし、この日のチケットを買うために8月からメールやりとりをしてくれたビュールのマネージャーさんにもお礼を直接言えたし、100億点満点だった。
3日目はかなりハードな旅を計画していた。ビュールからケルンを越えてヴッパータールへ。そして最終的にはミュンヘンまで戻るというなかなかにやばみのある距離。しかし、ミュンヘンまで戻らないと次の日の午前中に乗る飛行機に間に合わない。
じゃあなんでヴッパータールまで、といえばもう一人の日本人選手、大竹選手を見に行きたいなと思ったからだ。彼の所属するラインマインのホームであればかなり楽な旅になっていたが、そううまくはいかなかった。
そしてさらに欲を出して、ケルンでサッカースタジアムを一目見たいと思ってしまった。Uバーン(地下鉄)、さらにトラムを使う。ケルンは物乞いが多かった。駅でぼーっとしていると声をかけられるので、ギリギリまでうろうろと動き回っていたのでさらに疲れたなあ。
ケルンのホームスタジアム。日産スタジアムに似てるなーと思った。
ここへ来たことで、やっぱりサッカー見たかったなって気持ちになってしまったので、今度の旅はサッカーの試合も見る日程組むぞと。
ケルン駅に戻って、軽く食べてからヴッパータールへ向かおう。カリーヴルストのお店を発見して、ビールとカリーヴルストのセットをポスターを指差して注文したら、なぜか2つずつ出てくるという・・・なぜなんだろう・・・いや、一個で注文したよ?と言っても作っちゃったからダメって返されて、うんまあいいよ・・・ってなって結局ほぼ完食できたんだけども。でも、ちゃんと要望を伝えるっていうことを頑張っていきたいと強く心に刻んだ出来事だった。
なーんか疲れたなあと、ケルンからヴッパータールへ向かう車窓から外を眺めていた。疲れがすーっと溶けていくような風景だった。
Wuppertal-Sonnborn駅で降りて急な坂道をゆっくり下る。昼はのどかさやかわいらしさを感じたけれど、夜になると明かりが絞られてひっそりとエキゾチックな雰囲気に。帰りはなんだか不思議とこわくなって、うしろを振り返りながら足早に坂を登った。懸垂式モノレール、乗ってみたかったので次回こそは。 pic.twitter.com/FtS0oklH0u
— shindy_jdi (@shindy_jdi) 2018年2月3日
当日券を買ったり、カメラで撮影していい?と聞いてみたり(え?私を?って受付の方に聞かれた時は、うまく伝えられなかったなーと反省するとともに「あなたも撮らせてください!」的なコミュニケーションも取れたらよかったなあと笑)と、なかなか自分にしてはレベルの高いことをしつつ。でもトイレは男女間違えて突入したり(誰もいなくてよかった)。
Großsporthalle Bühlではあらかじめクラブに試合中の撮影OKかどうかを聞いていました(OKでした)。Bayerhalleは事前確認してなかったので、受付の方に聞いてみたら「え!ワタシを撮るの?」って言われて笑。そこで、ぜひアナタも撮らせてください!って会話を弾ませたい人生だった...( ˘ω˘ )
— shindy_jdi (@shindy_jdi) 2018年2月3日
この試合で1番に見たかったのは大竹壱青選手。1セット目は最後の最後に2枚替えで登場、25点目を決めたのは大竹選手でした。2セット目は点差がかなりついた中盤から最後まで。3セット目はスタメンで出場し追いつかれてデュースになったところでベテラン組と交代。チームはストレート勝利でした。 pic.twitter.com/Evt2z5MZyM
— shindy_jdi (@shindy_jdi) 2018年2月3日
試合がストレートで終わってくれたおかげで、ヴッパータールからケルンへ戻るのに余裕があってありがたかった・・・!ケルンからミュンヘンの新幹線だけはどうしても乗り過ごせなかったので。ほっとしたのか4時間半の新幹線での長旅はぐっすりでした。
日にちをまたいでミュンヘンのホテルに到着。なんとカードの機械の電源切っちゃいましたと・・・現金多めに残しておいて良かった・・・そういうこともあるんだなあ。
朝、外は雪景色。
電車の遅延も心配だし、早めに動こうと余裕を持って計画より2本前に乗る。
ああ、あとは飛行機に乗るだけか。なーんてほっとしていたら、なんと電車を降りそこなって慌てて謎の駅に降りるも、そこから電車で直接空港に行けないらしい・・・・・・頼りのDBアプリで調べてもバスしか出てこない。困った・・・この雪でバスはどのくらいかかるんだろう。そもそもこの旅であれこれ乗り物に乗ったけど、バスだけは乗ってなくて不安すぎる。
よし、タクシーを使ってみよう。駅を出て、歩道に沿って停まっているタクシーに英語で声をかける。何分に空港に着くかとまず尋ね、「雪だから確実ではないけど、平均的にはこのくらいで着くよ」と答えてくれた時間でなんとか間に合いそうだった。早く出発して良かった。次に、支払いはいくらくらい?カードは使える?と聞いたら「現金だけなんだけど大丈夫?」と聞き返されて、慌てて残りの現金を確認。ホテルでもまさかの現金でここでもかー!と焦ったけど、なんとかいける。ここまで確認してようやく出発してもらった。ほっとしたけれど、空港に着くまでは本当に不安との戦いだった・・・・・・正直泣きそうだった。そんな空気を読み取ってくれたのか、なんだかんだでめちゃめちゃ早く到着してくれた・・・チップもりもりつけて、ありがとう!と伝えた。
旅の終盤、ここまできたらもう何もこわくないぞと思ったし、不安なことはどんどん聞いてみようと思った。
航空券を受け取る時にトランジット後のチケットがないことに気がついて、「トランジット時間の余裕がないからここで受け取っておきたい」と話したら発行してくれた。まあ、アブダビからの飛行機がディレイして結局時間があったのだけれど、それはわからないもんなあと。
乗り換えのアブダビに着いてダッシュで日本行きの搭乗口に行ったら、時間なのに全然受付してなくてどうしたんだろうと。しかも待っている日本人のお客さんたちはのんびりとしている。え、もしかして私の乗る便の受付終わった?今待っている人たちって次の便?・・・不安になって受付の方に「この飛行機に乗るけど受付の時間じゃないんですか?」と聞いてみたら「その便はディレイしています。また声かけるから待っていてください」と。なーーんだ、ほっ。不安なら聞けばいい、それに尽きる。
その後、日本が大雪で成田に行けず一度名古屋に着地し、やっと成田に着いたと思ったら東京駅へ行くリムジンが運休、ちょうどラッシュ時間にぶつかって・・・となかなかのアンラッキーぶりを発揮したけれど、それもまあいいのだ。思いがけないいいことと悪いことがあるのが旅だし、生きていく過程だよねえと。
そんな経験が詰め込まれた自分がまず欲したのは語学だった。
母国語含め、自分の意思を自分の力で伝えることを、一生かけてやっていこうなあ、と思った。
伝わらなくてガックリするのも含めて、自分の旅なんだよって。
人生お初の語学講座へ。先生の怒涛のイタリア語に??ってなりながらも、夢中になった。4ヶ月ほど独学で勉強してきたことは、すこーしだけ役に立ってくれたけれど今日のこの瞬間には勝てない。生きた勉強ってコミュニケーションなんだ。好奇心がどんどん湧いてきて、学ぶこと知ることが楽しすぎる。
— shindy_jdi (@shindy_jdi) 2018年6月16日
次の旅はイタリア。バレーボール男子世界選手権を見に行きます。
バレーボールという競技が好きだ。だから、行きたいなと思った。
会場のあるローマ、フィレンツェだけで過ごすのでも精一杯かなと思ったけれど、少しずつ欲が出てきている。
ナポリを見て死にたいじゃないかと。
青い空と海が繋がった風景を見て、死にたい。
毎週楽しみにしている「旅するイタリア語」を見ていると、アマルフィーも行きたくなる。
思うようにいっても、いかなくても、それでいい。
そうなるように努力してみる、それだけなんだ。